ガチャストーリー33「舞台「愛ゆえに」を観て」 - Alice Closet

アリクロ(アリスクローゼット)ミニストーリー

ガチャ: 「ロミオセレナーデ」「ジュリエットバラード」

期間: 2022/2/12(土)14:30~2/23(水)14:29

舞台「愛ゆえに」を観て

[1]『愛ゆえに』第2幕の台本

『愛ゆえに』第2幕の台本

「カリンカ、カリンカ……そこにいるんだろう?」
舞台中央の豪華なバルコニー。
そこから美しい女性が顔を出す。
彼女はインターナの貴族女性、カリンカ。
「誰? 誰なの? 私を呼ぶ人は?」
暗がりからリンクライアの貴族男性、アドニスが登場。
「カリンカ、私です……!」
「まあ、アドニス! どうしてここに? リンクライアの人間であるあなたがこのインターナで見つかれば、その命を失うことになります。早く逃げてください」
「いいえ、逃げません。国も戦争も関係ない。私はあなたを愛しているからここに来たのだ! この首が飛ばされることになろうとも、この愛は止められないのです」
「アドニス……ああ、あなたがリンクライアの人間でさえなければ!」
「私も同じことを考えました。カリンカ、あなたがインターナの人間でなければと! しかし、私が愛したのはインターナのカリンカなのです。今のあなたを何も変えたくはない。身分の違いを越えて私たちが結ばれる日が必ず訪れます!」

[2]フェリシアの日記

562.2.14
今日『愛ゆえに』という舞台を観たわ。
ルーカスと結婚してから初めてのバレンタインに、ふたりで一緒に観たのもこの劇だった……
そのせいか、観ている間にいろいろ思い出したわ。
あのとき私はルーカスに「あの恋人たちは定められた相手と結婚すべき? それとも好きな人と結婚すべき?」と尋ねた。
そしたら彼は「私たちのような王族同士の結婚で、国の関係が安定できれば、貴族も平民も安心して好きな相手と結婚できる。ハートランドもベルベットも、劇のような悲劇が起きないよう自分の力を尽くしたい」って答えたわ。
まさか、そんな答えが返ってくるなんて……
彼は自分よりも民の幸せを願っていたわ。

結婚前にルーカスと会ったのは数えるほどしかないけど出会ってからずっと彼は私に優しかった。
ルーカスのことはいい人だってわかってたけど、まだ恋心とは呼べないまま結婚することになって……
でも私は、だんだんルーカスを好きになっていった。
今では彼の前向きな性格が一番の癒し……
ルーカスと出会えて、本当によかったわ。

[3]ルーカスの日記

539.2.14
今日は結婚後初めてのバレンタイン。
妻と一緒に劇を観に行った。
ハートランドの演劇史に燦然と輝く名作『愛ゆえに』。
私はこの作品が大好きで、祖国ベルベット王国で10回以上観たことがあった。
しかし、さすがハートランド王国発祥の劇だ。本場であるこちらの公演は一味違った。
環境や演出ひとつで、同じセリフでも全然違う印象を受けてとても楽しめた。
鑑賞中、フェリシアに「定められた相手と結婚すべきか好きな人と結婚すべきか、どっちが正しいと思う?」と耳打ちされた。
世間話と思って深く考えずにすぐ回答したが、今から改めて考えると…もしかしたらフェリシアには別に好きな人がいたのかもしれない。
心に決めた男性が……いや、考えないようにしよう。
最初は政治的な繋がりだったが、彼女をひと目見たときから私の心は彼女のものだ。
なのに民衆のために自らを犠牲にしたという様ないい方をして、フェリシアを傷つけてしまっただろうか。

これからは一人の男性として彼女を優しく守ってあげなければ! カリンカを愛し抜いたアドニスの様に……!

[4]ブランの日記

555.2.14
今日の劇は何度か観たことがあるけど、最後まで劇場にいられたことは一度もない。
今回も結局途中で抜け出しちゃった。
私に長い劇は、きっと無理なんだ。
また結婚のシーンまでしか観ることができなかった。
ジャバウォックに悪いことしちゃったな。

でも、最後まで観たことはないけど結末は知ってるの。
最後はふたりで心中……気の毒だわ私は平和な時代に生まれて、好きな人と結婚できただけでも恵まれているんだわ。

劇場の入口に素敵なアリスがいたの。
「ブルーポワン」や「プーレーヌ」みたいな本当に細かいところのデザインまで150年前の時代を再現していてすごかったわ。
落ち着いた色彩の中にも華やかさがあって、ポイントでアネモネがあしらわれているけど、シックな感じを残してある絶妙なバランス……とても勉強になったわ!
アネモネの花言葉は「君を信じて待つ」
待ってくれている愛する人のためにも、いつか快復して劇を最後まで見たいな。

[5]ジャバウォックの日記

562.2.14
今日は女王陛下のお付きで観劇をしに劇場へ。
昔、ブランと観たことがある劇だった。
悲しみに耐えられず、バルコニーで密会する場面で劇場を出てしまった。
俳優が変わっているが、今日公演していたのは7年前にブランと一緒に見たときと同じ劇団だった。
花を小道具に使うのはこの劇団特有の演出だ。
ブランに花言葉を教えてもらったのでよく覚えている。
ガマズミの花言葉は「愛は死よりも強い」
体調がよくないのを隠し、演劇につき合ってくれた彼女が、笑顔でそう語ってくれた。

ブランは、主役のズボンが「プールポワン」で、靴の形が「プーレーヌ」という名前だとか色々話してくれた。
手に持った仮面で顔を隠すことで、この衣装の持つ神秘性がより増すのだそうだ。
彼女は本当に衣装デザインを気に入っていた。
いつか一緒に劇を最後まで観ると約束したが、結局その夢は叶わなかった。
反対する周囲の声など気にせずに、彼女を愛する覚悟がもう少し早くできていたら、もっと多くの時間を共有できたのに……「君を信じて待つ」か……
待たせすぎてしまったようだ。

[6]『愛ゆえに』終幕の台本

『愛ゆえに』終幕の台本

アドニスと逃げるカリンカ。
「アドニス、追手がそこまで来てるわ」
「ええ、すっかり囲まれてしまったみたいです」
「もうこれ以上は逃げられないわ」
「カリンカ、あなたをインターナへ帰します」
「そんなことをすればアドニス、あなたは……」
「あなたが助かるなら、私は喜んで死を受け入れる」
カリンカは懐から小瓶を取り出す。
「屋敷を抜け出すときに、お世話係に渡されたの。この瓶の中に毒が入っているわ」
「カリンカ、何を考えているんだ?」
「アドニス、あなたひとりでは逝かせないわ。現世で一緒になれないのなら、せめて……」
「カリンカ……あなたは……」
「お願いよ、アドニス! あなたを失ってはもう生きていくことはできないの!」
アドニスはカリンカの手を取る。
「……だれにも干渉されぬ世界へ共に旅立とう」
ふたりで毒を飲み、手を取り合ったまま最期を迎える。
両国の追手たちはふたりの死体を目にして、悲しみにくれるのだった。

[7]ミラの日記

545.2.14
今日はチャールズと一緒に観劇。
最後まで観て、一目惚れで命まで懸けるなんてって驚いたわ。
まぁたしかに、一目惚れにはそれくらいの衝撃があるけど……
恋のスタートはそれくらい勢いがないといけないしね。
でもどうしても、なんとか両家を説得する方法はなかったの?
ふたりの愛を貫くためには、周りの理解が絶対必要よ。
チャールズは「あの状況で両親を納得させるのは、難しいんじゃないかな」って言ってたわ。
だから、もし私たちの恋が親に反対されたらどうする?
ってチャールズをからかったの。そうしたら、「もちろん、ミラを攫って逃げるよ。でも心中なんかさせない。逃げ切って、誰もいない場所でひっそり暮らそう」って真剣な顔するのよ!
笑っちゃいけないって思ったけど、堪え切れず噴き出しちゃった。
「なにかおかしいこと言った?」ってチャールズは目を丸くしてたわ。不安にさせてごめんね!

チャールズ、安心して。
お母さんならきっと自分の恋を応援してくれるから。

[8]チャールズの日記

545.2.14
ミラと一緒に劇を観た。
すばらしい劇だった。とにかくセリフが詩のように美しくて……いつか、ああいう言葉を言ってみたい。

鑑賞中、ミラに「恋が反対されたらどうする」と聞かれてひやひやした。
いざとなるとあたふたして、美しいセリフなんか出てこないものなんだなと気がついたよ。
もしかしたらミラは、この交際を反対されてるのかもしれないって真剣に考えちゃったんだ。
もし、そうだとしたらどうする?
説得してみせる? 頑張って好きになってもらう?
いやちょっと待って、今日の劇みたいに話を一切聞かないタイプの親かもしれない。
もしそうなら、やっぱり逃げるしかない!
でも「ミラを攫って逃げる」って言ったら、彼女はいきなり笑い出して……。
そこで冗談だと気がついたよ。まったく……
ミラは小説とか雑誌を読むとすぐ影響を受けるんだ。
でも、そのおかげで彼女の話はいつも活き活きしていておもしろい! 今日、あらためてわかった。
ミラのそういう所が好きなんだ!

[9]レティシアの日記

562.2.14
今日は楽しみにしていたお母様と観劇の日。
周りには貴族の人がたくさんいて、ふたりきりではありませんでしたけど……お母様と一緒に劇が観られて大満足!

内容はすごく重かったわ……
どうして昔の名作劇って悲劇が多いの?
昔読んだ本に、人間は悲劇に惹かれるって書いてあったけど本当なのかしら?
今日見た劇がつくられたのは404年前後らしいわ。
そのころはまだアリスが生まれていないのよね……
それでもやっぱり悲劇があったということは、悲劇を引き起こしているは人間……?
少なくともアリスのせいだけではありませんわ!
……なんだか悲劇について深く考えすぎてしまったみたい。これも名作を観たせいかしら。
誰かと意見交換をしたいけど……お母様は忙しいだろうし……そういえば、一階の席にメルルとチェスターがいた気がするわ。
大人気の劇だし、もしかしたら観に来ていたのかも!
チェスターに話して、もし観ていたら感想を交換しても楽しそうね!

[10]チェスターの日記

562.2.14
今日はばあちゃんと一緒に劇を観に行ってきた。
「愛ゆえに」とかいう古い作品で、名作って呼ばれてるらしい。
だから同じ公演を女王と貴族も観に来てたんだってさ。
ってことは、レティシアもいたんだろうなー。
まあ、貴族は2階の特別席だから全然わからなかったけど……
でも、同じ劇を観てるわけだし、話くらいはできるか。
別にレティシアと話したいってわけじゃねーけど、感想くらいは話してやってもいい……かな。

でもなー……あの劇、古くさい表現が多くてちょっと難しかったんだよなー。
ハートランド王立名門学園に通うレティシアにとっては簡単だろうけど、オレには……
このままじゃ感想を言い合う前に、バカにされちまう!
有名な作品なら、本とかも出てるだろうし、レティシアと話す前に勉強しておいた方がいいな。
そういえば、この演劇はインターナ帝国とリンクライア公国の戦争時の話だったな。
歴史もそんなに得意じゃねーけど、文学も歴史もシキに聞けば、なんとかなるはず……!
……インターナ帝国もリンクライア公国も遠いけど、行ったら作品のことがわかるかもしれねーな。

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